29年第4回定例会一般質問から(1)「人と動物が共生できる社会に向けて」

第36回世田谷動物フェスティバル

29年度第4回定例会が11月27日から12月6日の10日間で開かれ、(1)人と動物が共生できる社会に向けて(2)世田谷246ハーフマラソンの視覚障害者の参加にむけて一般質問しました。

まず、人と動物が共生できる社会の実現に向けて、砧公園で実施される動物フェスティバルや昨年から開始された被災動物ボランティアについて取り上げました。

砧公園で実施される動物フェスティバルは今年で36年目を迎えました。お天気にも恵まれ、さまざまな動物と触れ合えるとあって今年も大変なにぎわいでした。目の前で鷹が飛ぶ姿を鑑賞できる「鷹のフライトショー」では、子どもの歓声が何度もあがり、猛禽類の鷹の爪が至近距離で観察できる体験に、多くの子どもが積極的に手を挙げ参加する姿に保護者も嬉しそうでした。

このフェスティバルは、動物愛護の精神に基づき、人と動物の健康と福祉の向上を図り、共に暮らす楽しさ伝えるもので、区と獣医師会共催で開催されます。毎年趣向を変えて、たくさんの種類の動物が集まります。先ほど申し上げた鷹、うさぎ、ハムスター、カピパラ、オーム、なんと象が来ていた時代もあったそうです。このようにたくさんの種類の動物とふれあえるのが世田谷らしさでもあるわけですが、注意を払う必要があるのは感染症の対策です。動物は人間と違った病原体をもっています。今年の夏もマダニよる感染症で死者がでています。当日はペット連れの方も多く訪れることからも動物由来感染症対策について質問しました。 

動物フェスティバルは、公益社団法人東京都獣医師会世田谷支部と世田谷区の共催、東京都動物愛護相談センター後援により実施している。この動物フェスティバルの企画・運営については、東京都獣医師会世田谷支部との協議を重ねて、動物愛護相談センターの指導を受けて実施しており、子どもふれあい動物教室で触れ合ううさぎなどの動物については、獣医師による事前の健康診断を行った。また、参加者は、獣医師による動物の触り方等の講義を受けた後、獣医師の指導のもと小動物と触れ合うことができ、体験前と体験後に消毒薬による手の洗浄をしてもらい、感染症の対策を行うとの答弁でした。

ふれあい動物コーナーは毎年大変人気です。午前と午後60名の定員はすぐいっぱいになり、残念ながら今年も参加できない子どもが多数いました。チケットが入手できた子どもたちは、獣医師の指導のもとに、聴診器を使ってうさぎの心臓の音を聞いて命の尊さや大切さを学び、適切な抱き方や扱い方のアドバイスを受け、愛おしそうに接していました。この動物フェスティバルでは、毎年、東京都から委託された動物愛護推進員が参加しています。動物愛護推進員とは、動物への理解と知識の普及のため、地域の身近な相談員として飼い方の助言をするなど、動物の愛護と適正飼育の普及啓発等の活動を行うボランティアです。今年のふれあい動物コーナーにおいて動物愛護推進員から動物愛護と適正飼育の観点で、指導助言があり、周囲が驚くようなやり取りになってしまったと聞いています。どんな問題が起こって、区として、どのように問題解決に努め今後どのようなフェスティバルにしていくのかを問いました。

動物愛護推進員から登録標識の指示場所やその標識の撮影場所などについて指摘があった。また、区に対しても業者とのやり取りを含め、区民への周知や動物の健康管理の内容など、主に動物取扱業者について、改善の指摘があった。事後に東京都動物愛護相談センターに相談したところ、特に法令に抵触する内容ではないが、様々な動物愛護法の解釈のもと、より良い事業にするには、パンフレットなどの業者の登録標識内容の区民周知や、安全管理の観点から手洗い場の案内表示などの助言をもらった。今後も東京都獣医師会世田谷支部と協議の上、また、東京都動物愛護相談センターへの事前の情報提供や相談を通じて、今回の指摘も踏まえ、よりよい動物フェスティバルになるよう努めていくとの答弁でした。

 

動物愛護と適正飼育の観点では、学校現場での動物飼育の現状についても質問しました。現在、金魚やめだかは全校で、うさぎは36校ハムスターが4校、モルモットが4校と哺乳類は半数以上の学校で飼育していますが、アレルギ症状のある子どもも増えている現状です。そこで、アレルギーや動物由来感染症対策、動物愛護の観点で適切な飼育が行われているかなど、チェック機能について質問しました。

ウサギなどの小動物を区内小学校の半数以上の学校で飼育し、金魚やメダカなどは全小学校で飼育している。飼育委員会の活動発表や生活科などの学習で成長や生命への気づきや、動植物を大切にする態度を育成している。区として、動物飼育支援活動モデル校として区内6校を指定し、獣医師会から講師を派遣して学期に1回程度、適切な飼育方法等の指導をお願いしている。他校でも、依頼を受け同様の指導が受けられるよう保健所と連携をとっている。教育委員会としても感染症対策について、都からの通知や保健所との連携から、適切に対応できるように学校に対して、情報提供や指導を行い、安全に動植物の飼育・栽培を実施して、生命の尊さへの理解や動物愛護の心を培う教育を支援していくとの答弁でした。

 

首都直下型地震は30年以内に70%の確率で起きるといわれています。災害時、人が避難する必要がある場合に、ペットも一緒に避難する同行避難は世田谷区地区防災計画でも原則としており、トラブルのない同行避難を可能とするには、普段から家庭で飼育する動物のしつけや日常的な交流を図ることが必要です。

 2013年の動物愛護法の改正により、生後56日を満たない子犬や子猫の販売、展示、引き渡しが禁止になりました。犬の場合、早期に母犬や兄弟犬から引き離されることによって、ストレスに弱くシャイになりやすいなど犬の社会化が進まず、その結果、しつけができず、吠え癖や咬み癖が出る率が高くなるということが指摘されているなかで、区内の犬の登録数は約37000頭にのぼります。散歩をしていても、吠え癖や咬み癖によって周囲から問題犬のレッテルを貼られてしまう犬もあり、飼い主さんによっては交流を避けざるを負えない場合もあります。発災時の避難先におけるマナーや、一時的な預け先の確保、同行避難が困難になるなど課題があります。保健所では、ペット同行避難を円滑に進める施策として、平成28年度から被災時における被災動物ボランティアの育成を進めており、現在68名が登録しています。避難所における被災動物スペースの管理や世話などを行う災害時活動ボランティア、被災動物の受け入れ状況に関する情報提供などをおこなう情報管理ボランティア、被災動物を一時的に保護するための施設の提供を行う施設提供ボランテイアと3本柱で同行避難をスムーズに実施するために活動していきますが、顔の見える関係性がないなかで92ヶ所の避難所と被災動物ボランティアをどのようにマッチングさせ活用を進めていくのか問いました。

同行避難をする場合、飼い主の日頃からの心構えと備えをしておくことが重要になる。そのため、保健所では、ペットの飼い主に対して、ペットフードや常備薬等備蓄や、日頃からゲージに怖がらず入ること、無駄吠えしないこと等のしつけの重要性について啓発している。被災動物ボランティアを平成288月から開始し、平成291120日現在、68名の方が登録している。また、同行避難の受け入れ可能な避難所も50か所ほどもある。ボランティア向けに外部講師を交えた研修会を適時実施し、日案所運営に関する情報提供を行い、ボランティアの意識啓発やスキルアップにも取り組んでいる。また、避難所での災害訓練にボランティアの参加を促すなど、避難所を運営する地域の人たちと、ボランティアとの顔の見える関係づくりを進める事で、災害時のペット同行避難が円滑に運営できるよう取り組んでいくとの答弁でしたが、ペットの受け入れ可能な避難所が50箇所ほどあるというが、実際にペットの同行避難訓練を実施しているのは山野小学校や桜木中など数少ない現状のなか、どのように顔の見える関係性をつくつていくのかが課題です。

11月26日に開催された山野小学校避難訓練

11月26日(日)、山野小学校で避難訓練があり、今年も獣医師会と連携して、ペットの同行避難を実施していましたが、被災動物ボランティアはいらっしゃっていませんでした。昨年は、被災動物ボランティアの見学があったと聞いています。避難訓練の現場で出された意見などを踏まえて、まず受け入れ可能な50箇所の避難所の実情に合わせたマッッチング体制をしっかりすすめていくことがなにより重要ですので今後も注視していきます。