令和4年第1回臨時会HPVワクチンへの専決処分について、意見しました。

生活者ネットワーク世田谷区議団を代表し、専決第1号専決処分の承認に賛成の立場から意見を申し述べます。

今回の第1次補正予算が専決処分により執行されることとなったのは、いまだ収束の目処が立たない新型コロナ感染症に対し、国の方針に沿って区としてできる限り迅速な対応を取るためであったことは理解し、専決処分の承認に賛成します。新型コロナによる生命にかかわるリスクの高い基礎疾患を持つ方や高齢施設入居者などで、4回目接種を希望する方々へのワクチン接種の準備を万全に、混乱のない実施を要望します。

また、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る予防接種については慎重に臨むよう求めてまいりました。今回の補正予算では、これまでの定期接種対象者への個別勧奨を実施するとともに、接種機会を逃した対象者平成9年4月2日から平成 18年4月1日生まれの女子約3万8千人に対して、令和4年4月1日から令和7年3 月31日までの3年間、時限的に従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を行うキャッチアップ接種などを実施するための概算経費約9億円のうち約8億6000万円が盛り込まれています。

積極的な勧奨の差し控えによってHPVワクチンの接種機会を逃した対象者に対しては、令和4年3月18日付の国の通知や3月25日に予防接種法施行令が一 部改正されており、世田谷区においても、公平な接種の機会を確保するという観点での国の動きにともない接種機会を逃した対象者へのキャッチアップ接種を実施する体制を整えることは認めます。

しかし、再び積極的勧奨が再開され接種するHPVワクチンは、2013年から公費での定期接種が開始された2ヶ月後に副反応が相次ぎ、積極的勧奨が中止されていたもので、最新のデータでは接種後の重篤副反応の頻度が他の定期接種ワクチンの平均の8、8倍、全国で130人(2022年2月現在で)の原告が国と製薬会社を相手取って薬害訴訟を争っているワクチンです。

世田谷区では国の2020年令和2年10月9日付の勧告をうけ、厚労省のリーフレットをワクチン接種対象年齢の女子1万7千人へ個別送付したことで接種率は前年度比で6倍以上に跳ね上がりました。また、積極的勧奨が再開された先月3月には中学1年生〜高校1年生の4学年約1万2千人を対象に予診表が個別送付されています。

 

国の最新の報告では重篤な方は1万人に6人、副反応疑いの方は千人に1人の割合でおきており、接種者が増えれば一定の比率で被害者も増えることになります。キャッチアップ接種の開始にあたっては、ワクチンの副反応のリスクとメリットの両方をきちんと理解したうえで判断できるよう先の定例会や予算特別委委員会でも提案しているリーフレットなどを活用した区独自の情報提供を要望します。

また、ワクチン接種後の副反応疑いの報告は、全国の医療機関や製薬会社からPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)に集まります。この報告は区へも送られているのですから、当区の被害者の実態を把握し速やかに、区民や区議会に情報提供することは基礎自治体として当然のことです。副反応に関する情報を入手した際の確実な情報公開を求めます。副反応の症状が出た場合には適切な支援や治療がうけられるよう体制を整えること、そのための区における相談窓口の明確化が必要です。都や国に対し医療支援の体制整備も強く求めていくべきです。

さらに、子宮頸がんは早期発見早期治療ができるがんですから、子宮頸がん検診を定期的に受診することがとても大切です。しかし、世田谷区の子宮頸がん検診の受診率は25.7%です。ワクチンを打っても検診をしなければ子宮頸がんは防げるものではないことを広く周知するとともに、がん対策推進条例、がん対策推進計画を持つ世田谷区としては、子宮頸がん検診を無料にするなど受診率の向上により一層力を入れることを求めます。

最後に、自分自身の身体を大切にするセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの普及や子どもたちへ性教育と定期検診をセットで推進することが何よりの子宮頸がん予防に大切ではないでしょうか。これまでも提案してきたように、HPVワクチン接種に関してはリスクとメリットの公正な情報提供、子宮頸がん健診受診勧奨や子どもたちへの性教育を一体として速やかに進めることを改めて要望し、専決処分承認の賛成意見と致します。