「社会的入院」状態の子どもを救うために

暴力や育児放棄などの虐待を受け、治療が終わったあとも受け入れ先がないなどの理由で入院が続く、「社会的入院」状態の子どもが、大阪府内で3年間に168人に上ったことが、小児科の医師たちの調査でわかりました。

受け入れ先の乳児院や児童養護施設などに空きがなかったケースのほか、虐待かどうかの調査に時間がかかったケースや、病院が家庭に帰すと再び虐待されると判断して、退院させるのを拒否したケースが多かったということです。また、健康状態に問題がないのに、児童相談所などからの依頼で入院させていた事例もありました。

大阪府は、政令指定都市の大阪市と堺市を除き、府が所管する児童相談所を通して、こうした事例がどれくらいあるのか実態を調査したところ、去年3月までの1年間に、1週間以上「社会的入院」の状態にあった子どもが33人いました。多くは、親などから虐待された乳児です。半数以上が、治療が終わってから1か月程度、長い場合は、1年近く入院が続いたそうです。都道府県が、独自に調査して明らかにしたのは初めてです。

東京都でも、社会的入院状態の子どもが一定数います。家庭にも帰れず、施設にも空きがなく、やむを得ず病院に居続ける子どもたちを救うために、児童相談所と連携し、愛着関係を築け安らげる家庭が増えるよう支援体制の強化を求めていきます。