10代の妊娠について

みなさんは、2007年に熊本県の慈恵病院が始めた取り組み『赤ちゃんポスト』のことを覚えていますか?

その当時、乳児を遺棄する虐待死させる事件が頻繁に起きており、生まれる命を救いたいと赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」はスタートしました。安易に子供を捨てる、育児放棄を助長する、保護してどうするなど賛否が分かれていましたが、これまでの8年間で救われた命は112名です。

2014年度の厚労省発表によれば虐待で死亡した子どもの数は44人で、そのうち6割は望まない妊娠による虐待死で生後24時間以内になくなっています。こうのとりのゆりかご開設当初から関わる助産師の田尻貴子さんが始めた、「sosお母さんと赤ちゃんの相談窓口」の電話相談が昨年度5466件で、9年前の10倍に達しました。10代の相談がその2割を占め、妊娠をめぐり孤立化し行政の手の届かないところに置き去りにされている姿が浮かび上がります。若い相談者に子どもを養育する経済力や知識がないのは当然のことで、だからこそ、 このようなSOS電話相談が急増しており、いつでも悩みに耳を傾け救いの手を差し伸べられる電話相談の役割は大変重要です。不安を抱えたまま出産し、育児にいきずまると虐待のリスクも高まります。こうした負の連鎖を断ち切るには、早い段階からsosを受け止められる仕組みが大切です。

世田谷は生まれる前から切れ間のない子育て支援ネウボラ事業をはじめていますが、妊娠届をだした妊婦に対してのものとなっており、様々な理由で妊娠届を出せないでいる妊娠などへ支援できる仕組みではありません。また、虐待による児童相談所の状況でも実母からの虐待が60%を占め、虐待件数も年々増加しつづけ、児童相談所では対応しきれない現状であることからも、妊娠前から切れ目のない子育て支援は、助産師会や 市民団体などと連携し24時間の電話相談体制を構築し、若年層も含めた支援体制をつくることが重要です。

「命の権利は胎児にも及ぶ」ドイツ連邦憲法の第1条の条文で謳われています。日本国憲法は、胎児の権利に及ぶ条文がないことを著書「はい、赤ちゃん相談室、田尻です。」で指摘しています。第3回定例会の最終日10月16日、栃木県矢板市でへその緒がついた乳児が死亡した状態で発見され、16歳の高校1年生が逮捕されたとショッキングな報道がありました。その2週間前にも目黒区の公園で、同じようにへその緒のついた乳児が発見されています。9月から35日間あった決算特別委員会では、10代の望まない、望まれない妊娠による人工妊娠中絶が48件もあることからも義務教育のうちから、生と生殖のに関する健康と権利「リプロダクティブヘルス/ライツ」の人権教育を求めましたが、第4回定例会でも胎児の人権が蔑ろにされない社会の実現を求めていきます。