平成30年第1回定例会一般質問より「特別養子縁組制度を子どもの最善の利益のために!」

乳児院の様子

性暴力や10代の出産など、予期せぬ妊娠により社会的養護が必要な乳児が乳児院に措置され3年後に児童養護施設に移る現行制度では、愛着障害などの問題があることが指摘されています。平成27年の1ヶ月未満の0歳児で乳児院に措置された新生児は、東京全体で103人もいる一方で、里親へ措置された新生児はひとりもいませんでした。生後一ヶ月未満の子どものすべてが、乳児院に措置されている東京都の児童相談所行政の現状は、子どもに恒久的な家族の愛情と生活の場を保障することが欠如しており改善が求められます。

妊娠中や出産後の相談に応じ、新生児を病院から直接里親へ委託する特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託(愛知方式)や民間事業者の養子縁組制度がありますが、国の検討会では、子どもに永続的な人間関係や生活の場を保障する「パーマネンシー保障」の重要性が指摘されており、そのためには、養子縁組制度は有効な選択肢であると区は認識しています。

愛知方式を伝える矢満田さん

平成28年度の児童福祉法改正では、養子縁組に関する相談・援助は、都道府県の業務として位置づけられており、区が児童相談所を設置した場合、この業務は区に移管されます。2年後の移管にむけて、妊娠中からの養子縁組の相談・援助の実施も視野にいれながら、妊娠中の女性への支援と同時に生まれてくる子どものパーマネンシーも保障される切れ目のない相談・支援体制の構築を求めました。

 

愛知方式とは・・・生まれる前から妊婦を支援し、乳児院に措置せず特別養子縁組を行います。1985年愛知県の児童相談所は、置き去りにされた新生児を乳児院に措置せず、直接養子縁組里親に委託しました。市長は、「棄児発見調書」を作成し、里親が希望する名前をはじめ本籍など単独戸籍を採用しました。これが愛知方式のはじまりです。是非、たくさんの方にこの制度を知っていただきたく、再度矢満田さんをお招きした勉強会も計画中です。

愛知方式の生みの親矢満田篤二さん