誰もが住みやすいまちを目指して(part1)

今年の4月に障害者差別解消法が施行されましたが、各自治体の役割や責務が具体的で明らかな内容ではありません。各地域の実情に応じて障がい者差別解消施策を推進するために条例を制定する自治体が増えているなか、障がいのある人ない人とが相互の違いを理解しあい、一人一人の尊厳を大切にしあうまちづくりを先駆的に進める兵庫県明石市を視察しました。

まず、手話を言語として位置づけ普及を目指す「手話言語条例」が2013年の鳥取県を先駆けに47自治体で制定され、それから約2年間で「手話言語法」の制定を求める意見書が1788地方議会で採択。世田谷区も2015年の10月に全会派一致で意見書がだされていました。明石市は、この手話言語条例を確立するだけにとどまらず、手話、要約筆記、点字、音訳など障がいのある人に必要なコミュニケーションの支援を促進する条例も盛り込み、手話言語条例➕障がい者コミュニケーション条例を27年4月に制定しました。この明石市の条例を参考に、千葉県習志野市や兵庫県小野市が情報コミュニケーションの内容も含む条例を策定し、札幌市でも検討されているそうです。

この明石市が取り組む障がいのある人へのコミュニケーション支援がとても具体的で参考になることばかりです。

1)28校すべての小学校4年生を対象にした手話教室の実施

2)手話検定などの助成制度をもうけ職員手話研修の実施(27年度は41名が受験)

3)手話通訳士を任期付正規職員として採用

4)市後援行事でも手話通訳者要約筆記者の配置費用の助成と担い手の育成

5)タブレット端末を使った遠隔手話通訳サービス

6)点字による市役所の情報発信

7)図書館に拡大読書機、録音図書再生機などを配置し読書しやすい環境の促進

8)災害時避難情報の点訳

9)色々な表現による情報の提供(わかりやすい表現による説明文書など)

10)手話言語等コミュニケーション施作推進協議会の開催

11)多様な障害者のコミュニケーション手段の利用促進(盲ろう者用コミュニケーション支援従事者の確保養成など)

上記のほか、聴覚障害者と共に、災害時の行動確認とどのようにコミュニケーションをとるかを参加者に考えてもらう内容の避難訓練も実施してました。障がいのある人ともに取り組みを進め課題を明確化し、より充実した支援策につなげています。このような具体的な対策が、当事者の社会参加の実現と自立にむけて、誰もが住みやすいまちにむけて最も重要なことです。

次に続く