農業における福祉力の向上について

2017年6月18日 18時33分 | カテゴリー: 活動報告

世田谷区は、東京23区の中で練馬の次に農地が多い地域です。農地は、新鮮な農作物が供給されるだけでなく、ヒートアイランド現象の緩和など、潤いのある環境を保ち、食育、教育、災害時の防災空間など貴重なスペースです。しかしながら、27年8月現在、経営耕作面積は約94ヘクタールで、10年前に策定した世田谷農業振興計画で示された目標面積110haを下回っており、農業生産の維持保全ができていない現状です。

世田谷区は農地保全のために「農地保全計画」を策定し、その中に農業公園を位置付けています。農業公園とは、農家が営農し、かつ限定的条件にあった農地に指定され、将来、農家が営農を継続できなくなった時に、区が取得して整備を行い保全するものです。相続税や固定資産税、高齢化や後継者不足など営農環境の衰退や、みどりの保全が危機的な状態のなかで、農業公園の役割は重要です。

昨年度、喜多見と瀬田に2つの農業公園がオープンしました。喜多見農業公園へ行ってみますと、住宅街の一角に現れる広々とした農地では、運営を担うNPO法人が、保育園児の農業体験の準備でトウモロコシを植えているところでした。また、農業を通して、ひきこもりがちだった方が社会へ出るきっかけづくりにする取り組みも行っていました。

昨年、体験農園発祥の地である練馬区の白石農園へ視察にいきました。東京都の補助をうけ、通院中の精神障害者を対象に農業体験を実施し、社会的適用訓練と就労の場をつくりだし、農における福祉力を活用した癒しと健康づくりなどに効果を発揮しています。国では、厚労相と農水省が農業分野での障害者や生活困窮者、ひきこもりなど就労経験の乏しい方などに対し、就労を進める農福連携の取り組みを始めています。

農業公園の活用は、子どもの食育や環境教育、区民参加型農園などに止まり、福祉農園としての活用は進んでいません。区でも今後増える農業公園を活用し、ひきこもり、障がい者、高齢者、仕事を見つけにくい方などへ、就労支援など福祉力の向上に向けた取り組みを行うことを求め、今後、関係所管と調整していくと答弁がありこれまで全く進んでいなかった農業公園の福祉的活用が進むことになりました。しっかりと推進されることを期待したいところです。